インテリアにおけるカラーコーディネートは、そこに住む人の好みはもちろん、暮らしやすさも重視して考えていく必要があります。
インテリアとひとことで言っても、住まいの空間は、床や壁、天井などの内装から家具や小物まで、実にたくさんの要素で構成されています。理想のテイストや独自の個性を取り入れつつ、快適な空間を演出するにはどのような工夫をすればいいのでしょうか。
今回は色彩の役割や心理に注目して、インテリアにおけるカラーコーディネートのポイントをご紹介していきます。
カラーの基本知識
色相
色相とは、赤や黄、青などの色みの分類のことです。
出典:武蔵野美術大学 http://zokeifile.musabi.ac.jp/%E8%89%B2%E7%9B%B8/
有彩色と無彩色
無彩色とは色相を持たない白・黒・グレーのことです。それ以外の色を有彩色と言います。
明度と彩度・トーン
明度とは明るさのことです。白に近いほど明度が高く、明るい色になります。黒に近いほど明度が低く、暗い色になります。
彩度とは色のあざやかさのことです。彩度が高いほどはっきりとした派手な色、彩度が低いほどくすんだ地味な色になります。
明度と彩度の組み合わせがトーンと呼ばれ、色の調子を表します。トーンをそろえたり、変化を与えたりすることで、カラーコーディネートの印象が決まってきます。
出典:武蔵野美術大学 http://zokeifile.musabi.ac.jp/%E6%98%8E%E5%BA%A6/
カラーコーディネートと心理的効果
人間は視覚や聴覚など、五感を働かせて生活していますが、その中でも視覚は大きな役割を果たしています。
色彩は視覚から入り、心におよびます。色は、好き嫌いや快適・不快など、人間の感情や心理に影響を与えるのです。
色の効果を活用してインテリアのカラーをコーディネートすると、部屋の目的に合った、快適に過ごせる空間をつくることができます。
同系色の調和
類似したカラーでインテリアをコーディネートをすると、落ち着いた統一感が出ます。まとまりがとれた穏やかなイメージになります。
対照的な色合いの調和
対照系のカラーでインテリアをコーディネートをすると、メリハリのある空間ができます。変化が感じられる、力強いイメージになります。
暖色と寒色
カラーの心理的効果において、暖色とは暖かさを感じさせる色のことで、主に赤やオレンジ、黄色などです。寒色とは冷たさを感じさせる色で、主に青や青緑などのことです。
実際の室温が同じでも、暖色の空間と寒色の空間では、温度が数度違って感じられるといいます。
条件や個人差はありますが、夏は寒色系のカーテンで涼しく感じたり、冬は暖色系のラグで暖かく感じたりと、カラーの温度感を自然に取り入れていることもあるのではないでしょうか。
出典:Panasonic
興奮する色と落ち着く色
暖色系のあざやかな色は興奮しやすく、寒色系は気持ちが落ち着きやすいといいます。
たとえば暖色系はアミューズメント施設、寒色系はオフィスや図書館などを思い浮かべると、その空間の目的に効果的なカラーが使われていることがわかります。
インテリアにおけるカラーコーディネートの考え方
インテリアのカラーコーディネートを計画するときに考えるべき項目がいくつかあります。
主に、部屋の目的や大きさ、利用する人のライフスタイル、内装や家具・照明などのテイストや素材、他の部屋とのバランスなどです。
ベースカラー・メインカラー・アクセントカラー
どんな色をどこに、どれ位の量を使うか、インテリアのカラーコーディネートを考える時に基本となる組み合わせです。全体の色数はあまりたくさん使わず5色程度までにおさえると、コーディネートが上手にまとまります。
- ベースカラー
部屋の最も広い部分を占めます。目安は全体の面積の70%。床や壁、天井の色がこれにあたります。壁や天井は白やアイボリー、床はベージュや茶系、グレー系などが多く使われます。簡単に取り替えられない部分でもあるため、ベーシックで飽きのこない色を選びましょう。
- メインカラー
部屋全体の25%程度の面積を占める色です。主にカーテンや家具、ラグなどがこれにあたり、インテリアの中心となります。部屋の目的や色数に配慮して、好きな色を中心に選びましょう。
- アクセントカラー
部屋全体の5%程度の面積にあたる色です。クッションや絵画、照明のシェードなど、小さくてもインテリアにメリハリを加えるスパイスとなる色です。ベースカラーやメインカラーの中でぼやけた印象にならないよう、個性的な色柄などコントラストの効いた色を選ぶのがポイントです。
出典:IDEE
パブリックな空間
リビングやダイニングは家族が一緒にくつろぐ共有の空間です。時には来客もあるでしょう。
長時間過ごしても飽きない、あまり刺激のないカラーを選ぶとリラックスできます。ダイニングは、おいしく食事ができるカラー環境にしてあげることも大切なポイントです。
たとえば暖色系の赤やオレンジ、黄色などは食べ物をおいしく見せてくれる色彩です。
プライベートな空間
寝室や子供部屋は、個人的な空間です。カラーもその部屋で過ごす人の好みや個性を尊重して、楽しくコーディネートしましょう。
寝室は快適に眠れる、落ち着いたカラーが好まれます。
仕事や勉強に使う部屋は、青系などの寒色やモノトーンであざやかさを抑えた色みにすると、気持ちが静まります。作業に集中しやすく、効率アップにつながります。