不動産査定をする際に住宅(家・マンション等)の耐用年数は査定価格に影響するのか気になる方が多いようなので、今回は、住宅の耐用年数についてしっかりとご理解いただけるよう詳しく解説していきます。
住宅の価値は何年経過すると価値が0になるのか?耐用年数が査定価格にどれくらい影響するのか?耐用年数でよくある疑問を解決!!
住宅の価値が20年経過すると住宅の価値はなくなるとイメージをお持ちの方もいらっしゃるようなので、資産としての耐用年数・経済的耐用年数はどれくらいなのか、建物の価値が0になる仕組みについてもご紹介していきます。
築年数と査定価格の関連性についてもかいてみました♪
耐用年数とは
耐用年数という言葉を聞いたことがあるけど実際どんな意味なのでしょうか?
耐用年数は大きくわけるといくつかの種類に分類されます。
- 法定耐用年数
- 経済的残存耐用年数
基本的な耐用年数とは、国税庁が決めている税務上の減価償却資産の耐用年数を表します。これを法定耐用年数と言います。
例:
木造(合成樹脂造のも)の居住用は22年
木造(モルタル造)の居住用は20年
ただし、先ほども言ったように経済的残存耐用年数というものも存在します。
不動産鑑定士がおこなう不動産の鑑定評価で出す耐用年数です。
評価する建物が経済的に価値がある年数を表します。
不動産鑑定評価基準の<価格評定>には耐用年数を用いて建物の減価を計算するときに「経過年数(築年数)よりも経済的残存耐用年数に重点をおいて判断すべき」と書かれています。
耐用年数は物件の寿命ではない
耐用年数についてはご理解いただけたと思います。
ここで勘違いしないでほしいのは、耐用年数は物件の寿命ではないということです。
日本の木造住宅(居住用)の耐用年数は20年もしくは22年ですが、この築年数を超えても、まだまだお家に住めるのはイメージできると思います。
家の寿命は、住んでいて倒壊する危険性があるときが寿命だと言えばわかりやすいと思います。
20年以上住んでいるお家にお住いの方は多いと思いますし、古いもので言えば100年以上のお家もありますよね。
必ずしも、耐用年数を超えたから住宅の寿命ではないことをわかっていただければと思います。
建物の価値が下がる原因
住宅などの不動産の価値が下がる原因が3つあります。
- 機能的要因ー性能的に問題なくても最新のものと比較して時代遅れになること
- 物理的要因ー建物の部位・材料が劣化し、性能が低下すること
- 経済的要因ー使用し続ける維持費・修繕費が改築費を上回ってしまう事
よく木造住宅は、20年を超えると価値がなくなるという言葉を聞いたことはないでしょうか?
基本的に、耐用年数を過ぎたから「建物の価値はゼロ」だと勘違いしている人がいますが、あっているとも言えますし、間違っているともいえるのが本当のところ。
建物の価値がなくなるのは、「機能的要因」「物理的要因」「経済的要因」のどれか、もしくはすべてが関連しています。
国土交通省の作成した「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」によると、中古住宅(木造)は、経年により築10年で資産価値が50%と半分に下落し、築15年ではなんと20%まで資産価値が落ちてしまうというデータを掲載しています。
築20年からは、資産価値の落ち込み方はやや緩やかにはなりつつも築30年で新築時の資産価値からは10分の1になるというデータが出されています。
木造住宅の比較対象となる、中古マンションについては、築35年経過後も、資産価値としての価値は30%を維持しているため、売却する際の資産価値を考えるとマンションのほうが圧倒的に有利なデータとなっています。
一般的な不動産査定の査定価格については、中古住宅と中古マンションではこのような傾向があるという事は押さえておきましょう!
築年数別中古マンションの査定額を比較
では、ここから実際の中マンションの売却データを元に築年数と売却価格の違いについてご紹介していきます。
この表では、築年数が0年~5年以内の築浅中古マンションが売却された金額を100として築年数が経つごとにどのくらい資産価値が下がっていくのかという事を「東日本不動産流通機構(レインズ)」がだしたデータを参考にご紹介していきます。
出典:東日本不動産流通機構(レインズ)「築年数から見た首都圏の不動産流通市場2016」より
築年数0年~5年以内のマンション
基本的に、「新築(誰も入居していない)」の場合と「一旦入居した物件(仮に一カ月でも)」でも、査定価格は一気に下がってしまいます。
数百万は間違いなく下がってしまいます。
築年数6年~10年以内のマンション
データを元に解説していくと、築10年の中古マンションの資産価値は新築時と比較して約80%になります。
基本的に築6年~築10年の中古マンションは、設備などもまだまだ新しいため資産価値としての価値はまだまだ高い位置を維持している年数と言えます。
中古マンションの売却を検討するならこの期間内に売却することがベストな時期だと言えるでしょう。
築年数11年~20年以内のマンション
築11年~20年以内の中マンションでは、新築時と比較して60%前後~70%くらいの価格で売却することが可能だといえます。
この築年数の中古マンションとなると、高い新築マンションには手を出しづらいと感じている層の方たちも、新築のマンションと比較しても手ごろな価格になっているため興味を持つ方が増えてきます。
築年数21年~30年以内のマンション
この築年数になってくると、資産価値は4割前後に落ちてきます。
築年数もだいぶ経過しているので、リノベーションなどを行うことで価値を高めることも可能です。
早い方では、住宅ローンが完済している人もいると思いますので、住み替えを検討して、新たな物件を見つける資金を売却で作っていくのもアリだと思います。
知年数30年超えのマンション
マンションといえど、築年数が30年を経過すると資産価値は4割以下に低下する物件もあるでしょう。
特にこの築年数であれば、耐震基準が旧耐震か新耐震かでも売却価格が変わってくる可能性もあります。
不動産査定のベストな方法
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そんな方たちにこの記事をおすすめします。
≫≫不動産アドバイザーが優しく教える!不動産の査定から売却までの方法
この記事では、初めての人でも安心して不動産の査定から売却までの方法を知っていただくことができます。
もし、あなたが現在、不動産査定を検討しているのであれば是非参考にしてください。
築年数別中古戸建て住宅の査定額の比較
築年数と不動産査定価格の関連性でもグラフで紹介しましたが、中古マンションと比べ木造などの戸建て住宅は、資産価値はかなりのスピードで下がっていきます。
東日本不動産流通機構がデータとしてまとめた表を元に中古戸建て住宅の築年数別の資産価値について紹介していきます。
出典:東日本不動産流通機構(レインズ)「築年数から見た首都圏の不動産流通市場2016」より
築年数0年~5年以内の中古戸建て住宅
中古戸建て住宅は、入居後、中古マンションと比較してもグラフ以上の資産価値の下落になることが多々あります。
というのも、マンションと比べ、中古戸建て住宅その家に住む家族に合わせた作りになっていることが多いためです。
3000万円~4000万円で購入した戸建て住宅を入居して間もなく売りに出すと、1000万円以上売却価格が下がらなければ売却することができないこともあります。
築年数6年~10年以内の中古戸建て住宅
築年数が6年~10年ほどになると、グラフ通りに解説すると新築当時の資産価値と比較して半分になってしまいます。
中古マンションと比べ耐用年数も少ないためこのような資産価値の減少になっていくのです。
中古戸建ての物件を購入する方の多くは築10年以内の物件を購入したいと考える方も多いので、売却を検討しているのであれば築10年以内に売却できるとベストだといえます。
築年数11年~20年以内の中古戸建て住宅
さらに築年数が15年を経過すると、新築当時から築15年までになるとやや資産価値の下落は緩やかになります。
しかし、とはいっても中古マンションと比較するとかなり価値は下がるのが現実です。
築20年以内で、しっかりとメンテナンスや修繕を行っていれば建物の価値はつくものもあるので、将来売却を検討しているというのであればこのあたりまでに売却をおこなっておきたいところですね。
築年数21年~30年以内の中古戸建て住宅
この築年数になるとほぼ資産価値はないと考えておいて良いでしょう。
ただし、中古木造戸建て住宅の法定耐用年数は20年もしくは22年ですが、メンテナンスや修繕をおこなって、リノベーションやリフォームを行っておくことで多少の資産価値はつくこともあります。(売却するためにリフォームなどを行うのはおすすめはしません。)
この築年数の中古戸建て住宅の査定価格であれば、建物の価値は0に近く、土地の価値に値段をつけてくれるというような流れが一般的になってしまいます。
知年数30年超えの中古戸建て住宅
この築年数になってくると、特殊な構造の木造戸建て住宅でなければ、更地にして売却してみてはいかがでしょうか?と提案されることになるかもしれません。
この築年数になると、解体費をかけてでも更地にして売却したほうが、建物があるよりも高く売却できる可能性はあります。
空き家のままで売却するのと更地にして売却にするのではどちらが賢いのか?という記事を以前書かせていただきました。
築年数が古い家をお持ちの方がいらっしゃいましたら、参考程度に読まれてはいかがでしょうか?
≫≫空き家の賢い売却方法~高く売るには空き家のまま?更地の方が良い?
築年数が古くても売却相場があがるケース
ここまで「築年数と不動産査定価格の関連性」について書いてきました。
最後に、お伝えしたいことがあります。
それは、築年数が古くてもグラフのような資産価値の下落ではなくあまり、値落ちしない不動産も存在します。
通常であれば新築価格と比べ中古で売却する場合は、新築時の購入価格よりも売却金額は上がることはありません。
というのも、不動産価格が上昇しているエリアのマンションであれば、新築時の価格を運が良ければ大きく上回ることも実はあるのです。
東京などの人気エリアのマンションなどは新築時の価格よりも、中古マンションのほうが高くなったということは聞いたことがある方もいるかもしれません。
しかし、東京以外にも
私が住んでいるエリアは福岡なのですが、福岡市のあるエリアのマンションは新築時よりも中古マンションのほうが1000万~2000万円プラスで売却できたという実例も存在します。
耐用年数と築年数は査定価格にどれだけ影響するのか?まとめ
いかがだったでしょうか?
今回一番理解しておいてほしいのは、「耐用年数=物件の寿命」ではないこと。
そして、中古戸建て住宅や中古マンションは、築年数が増えれば増えるほど資産価値としては0に近づいていくこと。
また、中古戸建て住宅の資産価値の下がり方は法定耐用年数が短いため早く、中古マンションの資産価値の下がり方は法定耐用年数が長いため中古戸建て住宅よりも資産価値の下がり方はゆるやかになる。
中古マンションは、戸建てと比較しても資産価値が完全に0になることはない。
是非、覚えておきましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございました。